廣村正彰さんの展覧会と講演(1)


池袋西武で開催されていた「廣村正彰展 ジュングリン---意識が動く映像」を見に行ってきました。入り口には、下記のような内容がかかれていました。


繰り返される毎日。私たちは日々大量の情報に接しています。
でも覚えているのはほんの少し、時間が経つと消えていきます。
では、ずっと覚えていることって、どういうことでしょう?

日常でのちょっとした気づきが生まれたとき、いつもと同じなのに何かが違うと意識する瞬間、私たちの脳に反応し記憶します。

Junglin'は百貨店をテーマに、日々繰り返されるおこないや、日常的な動作、ありふれた風景などから、一瞬 脳が発火し「意識が動く瞬間」を発見する映像の展覧会です。

この展覧会では、廣村さんなら、きっとグラフィックデザインやサインデザインが展示してあると思うのだが、グラフィックデザインは入り口だけ。サインデザインは会場の番号だけという、みんなの期待を肩すかしするような構成です。映像を使って、日常の気づきを表現している展覧会だったのです。


作品1 ラッピング 包装紙で商品を包みます。
商品はラッピングすることでそのモノが持っている質感や色彩が隠され、カタチだけが浮かび上がります。商品のシルエットは本来の機能を明解に表し、モノを包むという行動はデザインの本来の姿を探しだすことに似ているのではないでしょうか?


作品2 シャツ シャツのディスプレイです。
紳士服売場で整然と並んでいるストライプのシャツ。その模様が時間をかけて変化します。ビジネスの正装としてのシャツは、機能的な物質とグラフィックパターンという2つの要素に分離されることで、ルールとファッションの関係に「気づき」が生まれます。


作品3 ショッピングバック お買い物をした紙袋の中を再現します。
5つの紙袋、5人のショッピングバック。買い物をした時のレジの様子を透かして観ることができます。買い物をした袋の中身からその人の志向性を知ることができます。またレジの店員は買われた商品群を瞬間的に重さとカタチの組み合わせを判断することができるのです。


作品4 ラウンドウォール 買い物の楽しさを客観的な映像でおみせいたします。
レンズでとらえる人間と背景との関係を実験、考察してみます。なにげなく回遊している百貨店の中で どのように買い物しているかが発見できるかもしれません。


作品5 ドア ドアの内側と外側を別々な時間帯で撮影し、2つの映像を合体します。
百貨店には沢山の入口があり、多くの人々が出入りします。その行き来を凝視することはあまりありません。時間を変えて撮影した2つの映像を合わせることで、無意識に行われている動作や行為に人間の脳は連続した関係を見つけようとするでしょう。


作品6 カラーバトン たくさんのモノが一定のリズムで送られていきます。
百貨店にはたくさんのモノがあふれています。そのものの中から 色のグラデーションを探してみました。モノが人の手によって順番に送られていく様を表現しました。本当に送っているのではなく、1枚の画像が移動しているだけですが、バケツリレーのような印象に意識が発火し、映像のしくみにだまされることと思います。

展覧会の最後に、入り口に行くと、廣村さんに遭遇。そして、次に山研一期生の吉沢さんに遭遇。デザイン界は狭いですね、ひさしぶりに吉沢さんと近況などのお話をしました。


そして、展覧会の翌週に、本学の大学院特別講義に、廣村さんが来ていただきました。昨年度の講義に続いて、2年目の講義です。この展覧会の話から、廣村さんの多彩な活動と考え方を紹介してもらいました。ちょっとメモ。
・日常生活の中で、なんだろうなということを見つける、脳が発火する瞬間
・いろいろな言葉がる、はた言葉、洋服をきるのも言葉、字で曖昧がカタチになる
・眼は常に動きつづけている。傾きを見て、字を見分けている、斜めに見る脳がある
・字を通した視覚伝達の研究→「伝わる」

僕は、ますます廣村さんの考え方とデザインが好きになってしまいました。懇親会では、みんなで写真撮影。講義は大学院生しか参加できませんが、懇親会には学部の学生も参加して楽しい時間をすごしました。




廣村正彰(ひろむらまさあき):グラフィックデザイナー
廣村デザイン事務所代表。日本科学未来館CI・サイン計画、東京工芸大学UI計画、日産自動車デザインセンターサイン計画、平城遷都1300年記念事業シンボルマークロゴデザイン、横須賀美術館VI・サイン計画、西武池袋本店構造改革ディレクション等。毎日デザイン賞、KU/KAN賞、SDA大賞、JAGDA賞など受賞多数。


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