2010年7月31日土曜日

イノベーション創出

土曜日は、六本木で日本デザインマネジメント協会、設立記念フォーラムに参加してきました。会場はデザインハブで、参加者も多く、盛況でした。

はじめに、薄靖彦先生より「Management by Design」社会イノベーションを触発するデザイン力、という基本となるお話。


次に、基調講演で「イノベーション創出のデザインマネジメント」というお話を紺野登先生がしてくれました。メモを掲載します。

1。イノベーションの時代とデザイン
・日本のGDP70%はサービス、経済はモノづくりからサービスへ向かっている
・どの産業にとても知識経済化、製造業の知識化が重要になっている
・これからは、モノからコトへではなく、コトのなかにモノを埋め込むアプローチ
・わかっていても容易にできない(しがらみ、マインド、スキル等)
・シュンペーターの新結合とデザイン(技術革新ではなく本来のデザイン)
・デザインの知のデコンストラクション(解体・再構築)
・本質的問題解決の知的方法論
・知識デザインへの進化と時代背景(1工芸的デザイン、2工業デザイン、3知識デザイン)
・知識デザイン、人間中心、物語、経験
・デザイン組織経営を取り巻く状況の変化=製造業からサービス化/知識製造業
・デザインサービスの変化=カタチの提供(設計情報)からちの方法論(システム的解決)の提供
・例えば、エスノ手法、コンセプトデザイン、イノベーションサービス
・デザインという知のありかた(1)デザイン的(感情的知性)思考、直感的、仮説的、中間的、身体的、具体的、総合的
・デザインという知のありかた(2)演繹的(戦略的思考)の限界:創造的仮説推論(ビジョン)
・デザインという知のありかた(2)直感的に総合する力、感性性の創出(感情的能力)、5感を超えた直感

2。三つのレベルのデザイン
(1)知識デザイン/デザイン思考
・顧客現場の問題把握・現状からの仮説推論、概念総合、モデル(プロトタイプ)を介しての実践(エスノグラフィー、プロトタイピングなどの応用)
・ピーターロー:デザイナーはエピソードを直感的に仮説して、視覚化して、エピソードを五感を活用して概念総合してモデル形成する

(2)デザインという生産システム
・デザインは付加的設計情報でなく価値生産プロセスのアーキテクチャー
・従来は、工業デザインは工場・製品に付加価値を与えてきた
・今後は、企業が価値を生み出す全工程でデザインが役立つ=知識デザインプロセス、それにより価値創造、問題解決
・例:DellはWebサイトより顧客情報をえる、それから顧客の満足を高めるプロダクトのアーキテクチャーを考える
・例:セブンイレブンが各地域の顧客情報をとらえて、顧客の満足を高めるプロダクトのアーキテクチャーを考える
・つまり、デザインはカタチでは、プロセス

(3)人間中心の経営
・モノの価値体系(意味的価値、機能的価値)から経験(生)の価値体系(審美的価値、人間・社会価値)
・従来はモノの価値体系の中で、付加価値を加えた
・今後は人間・社会にとって大事なものをどう解決するか

・20世紀的サステナビリティ(モノ)から21世紀的サステナビリティ(知識的)
・持続性が経営課題、いかにモノを作るのではなく、サービスを含めて、人間主義へ、社会文化のサスティナビリティがイノベーション

3。デザインマネジメント2.0
・工業デザイン(対象はモノ、デザインの効用は差別化・欲望の喚起・企業イメージ向上)
・情報デザイン(対象は情報・データ、デザインの効用は視覚化・プロトタイピング・ブランディング)
・知識デザイン(対象は知識・経験、デザインの効用は顧客経験の創出・ソリューション・サービス・ライフサイクルサポート)
・デザインマネジメント1.0=デザイン資産・場と組織・リーダーシップとポリシー・ガイドライン
・デザイン資源と戦略:例 鉄道サービスのデザインマネジメント(プロダクト系、情報サービス系、環境系)
・1・0資産のマネジメント(知識資産のマネジメント)、ハード、ものや人などの資産のマネジメント
・2・0創造のマネジメント(知識デザインプロセスのマネジメント)=企業の活動自体をデザイン
・アート・カンパニーへの転回(技術企業の時代→倫理的企業の時代→美的企業の時代)
・美的企業の時代(創造性イノベーション)=芸術家的経営者、共通善、職人、ビィルトーズ、デザイン力、賢 美学
・日本企業にとってのデザイン(欧州製品とのギャップができてきている。キャッチアップ型経営の限界)
・欧米企業は、横断的なイノベーションが起きている
・日本では、知の刷新が必要=イノベーションにデザインの知を活用する必要があるのでは、
2 イノベーション・リポート
日産自動車株式会社 Nissan Designにおける、PQデザイン(Product Quality)
・PQの購入決定への影響
・スタイル・外観や内装のイメージが悪かった
・4つの品質:感性品質、製品の品質、営業・サービス品質、マネジメント品質
・Global Quality Meeting
・PQは第一印象での評価が重要、ディラーで初めて車を、お客様は10分間で、いろいろな体験をする。見て(メーター、木目、エンジンルーム)、触る(素材、なめからさ)、使って
・魅力品質は設計に折り込む。
・デザイン本部の中に、PQという独立した評価部署として活動
・PQのプロセス、PQターゲット設定、PQモデル評価、PQコミットメント、PQ試作車評価、出荷判断、PQ発売後評価

・デザインプレパラトリーステージ:PQターゲット設定(競合評価、メテリアル提案、センシビリティー調査


僕は、用事があったので途中で抜けてしまいました。会場では、筑波大の蓮見先生とお話もできたし、講演内容も有意義でした。印象としては、これまでデザインマネジメントをやっていた人と、これからデザインマネジメントをする人では、スキルも要求されることも、まったく異なり、デザインという名前が一緒ですが、異なる職能だと思いました。

このようなフォーラムや組織によって、企業においてデザインを活用してくれるようになると、世の中も変わるともいますが、この場合のデザインの意味は、従来のデザインではありません。

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